きょうは、私の仕事のお話しについて書きたいと思います。
ちょっとマニアックな話になりますが。
気仙沼の山と森についてです。

気仙沼は海のまち。
そう、漁業が盛んでほんとにたくさん、漁師さんや漁業に関わる人がたくさんいる町です。

農業をしている人もたくさんいます。
農家さんもいますが、唐桑ではほとんどのお家には畑があって、お母さんやおばあちゃんが家で食べる分の野菜を育てています。

気仙沼の中でもあまり身近ではない一次産業なのが林業。
じつは、気仙沼の土地面積の72%、なんと東京ドーム6000個分が山林になります。

そんな大きな土地を誰が管理しているのでしょうか??

国有林、県有林、市有林(国や県、気仙沼市が持っている山)と呼ばれる山は2割弱。
そこは森林組合さん等の林業事業体が管理してたりします。

残りの8割以上を占める民有林(個人、会社、集落等がもっているは山)は山を持っている人が管理をしています。
かつては気仙沼も、他の日本の多くの地域と同じように林業がさかんな地域であり、
昔は山を持っている人自身(山主さん)が山の作業をしていたようですが、今はあまりいらっしゃいません。

木材が売れていた50年ほど前までは、太く立派な木材を育てるために、手塩にかけて管理されていたそうです。
自分が生きている内には価値のある太い木には育たいないけど、子供や孫の代には立派な木になり、きっと高く売れる。
子孫に資産を残すために、大切に山を管理し、間伐(木の間引き)も何度もしてきました。

それが今では、木材価格の低迷により山の管理をしてもお金にならない。
立派な木を売ってもお金にならない時代になってしまいました。

どんどん山の管理をする人がいなくなり、荒れ果てた山がたくさん。
それが気仙沼だけでなく、日本全体の山と森の現状です。

このリアス式海岸の気仙沼は、山が海に迫っている地形です。
そして、気仙沼・唐桑は「森は海の恋人」のメッカ。
落葉から山がたくさんの栄養分を含み、その山からでた水が海にながれていく。
海では牡蠣やホタテの養殖が盛んで、山からの栄養分で海の物が豊かになっている。そんな場所です。

一見、この森も豊かに見えますよね。

私も今の仕事につくまでは、「唐桑って山も海も豊かで最高だ!」って思ってました。

近くに行ってみると、全然草が生えていません。
木々もやせ細り、光が入らず暗い森です。こわい。

これは、間伐をしておらず、適正に森が管理されていないからです。

ながい間、森に入らない期間があると、管理する技術も継承されなくなってしまいました。

「親父に連れられて、幼い頃には山に連れられて手伝いもしたけど、管理してもお金にならないからやめた!」
と話すおんちゃんによく出会います。

自分で管理できないとどうするか、というと山を「放置する」か「他人に頼む」です。
漁業の場合、船を持っている人が漁に出て魚を取る。
農業の場合、農地を持っている人が耕し作物を育てる。

林業だけが、山林を持っている人が施業せず、他人(林業事業体等)に頼むというのが一般的になっています。

そんな気仙沼の林業をどうにかするべく、、、なのが私のお仕事です。
ここ数十年で本当に少なくなってしまった、林業の技術を持った人をふやすために日々邁進しています。
山に行って間伐したり、事務所で山のデータを見てうなったり…、

この仕事について3年目ですが、いまだに山に入ると、日常を忘れます。
圧倒的な木々と森に住む生き物の音、澄んだ空気と木漏れ日が気持ちよくて、
ほんとにストレスフリーになれる場所。

休みの日にはたまに、近くの綺麗に手入れされた山に行って、山菜とったり
ハンモックをかけて美味しいコーヒー飲みながら読書をするのが最高の贅沢!

実は気仙沼は市の復興事業から生まれた、木質バイオマス熱電併給プラントが稼働に成功しています。
このプラントの燃料は、「木質チップ」です。
どんな木材でもいいというわけではなく、地域の間伐材のみで発熱電している地域循環型の画期的なプラントです。
これにより、気仙沼では今まで山に捨てていた間伐材を買い取ってもらえる事になりました。
山の資源の材が出て、その対価である地域通貨が地元商店街で使用され、
山は整備されて豊かになり、山の養分が海に流れ出て、海も豊かになり、生産物にも良い影響を与えるという、地域循環型再生可能エネルギーが実現しています。
(詳細はコチラ→ http://chiiki-energy.co.jp/

少しづつ増えている気仙沼の林業家さん。
林業家さんでなくても、山や森に入ってリフレッシュしてみて下さい♪